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CT

企業が社員たちに健康診断受診を提供する季節になってまいりました。各地で「メタボ」だとか「コレステロール値」だとかを気にする声を耳にします。


とはいえ、こうした検査に積極的なのはアジア諸国に多いことはご存じでしたか?

そもそも、欧州の人たちと日本人とでは、根本的な予防医学や健康保持に対する考え方が異なっています。

たとえば、年間300万人以上の日本人が受ける人間ドックがそれを象徴しています。
人間ドックとは、病気になる前に年に1度とか2度とかのスパンで全身を検査するサービスをさす言葉ですが、実は――欧州の人々は人間ドックなどという概念そのものを持ち合わせていないというのです。

健康なのに何故、高額な費用を払って身体中を調べるのか?
すべての病気を発見、予知できるわけでもないのにデータを出して、病院は責任をとれるの?

ヨーロッパやアメリカの人たちからすれば、こんな印象を抱いてしまうようです。



では、なぜ日本ではこんなにも人間ドックが一般的に普及しているのでしょうか。
理由のひとつに、日本では各病院が高額な最先端機器を保持していることが挙げられるでしょう。

日本が保有するX線、CT装置の数は世界中に存在する台数の実に約30%、世界1位の保有国です。
このような高額な機器は1台何億とするものもあります。高額な最先端機器が揃っているのですから、たくさんの方に検査してもらわねば成り立たないという背景もあり、人間ドックを受けてもらいたくて温泉をつけたり、宿泊部屋の質を整えたりといったサービスの充実に励む病院は少なくありません。


また、日本の「がん」だと診断されやすい傾向も関わっています。早期発見で手術をすれば、治るという考え方です。

人間ドックで発見される早期発見の「がん細胞」は、そのほとんどが緊急性の少ないものです。
ところが一度これがみつかると、病院は薬を処方し、定期的な検査を勧めます。
もちろん、確実な処置のためですが、患者にとってみれば「いつ悪化するかわからない」という不安をその後何年も抱えることにもなります。

これを聞いて、
「異常さえ見つからなければ関係ない、健康だということを確かめに行くのだ!」と考える人は多いでしょう。

知っていましたか?

人間ドックで異常が発見される人は受診者のおよそ90%だそうです。
小さな異常値などは、歳をとれば誰しもに現れてくるものです。
でも、見つかってしまえば不安になりますし、処置せざるを得ません。

危惧されるのは
薬の副作用や、レントゲンの発ガンリスク、ファイバースコープ挿入の痛みなど...耐えなければいけない痛みが過剰に増えることです。
そのようなストレスで新たな病気にならないとは限らないのですから。


■大事なのは「一生」の単位で健康について考えること

今回は、健康診断や人間ドックの良い点はよく知られているので、あえて批判的な目線で、危険性や新しい発想の提起について書きました。

検査を受けて、自分の体の状態を数値でしっかりと受け止めて生きていくのか、
自分の体のことは自分の感覚で、日常生活から管理していくのか――
ただ何気なく検査を受けるのではなく、どちらが一生という単位で見たときに自分の体を健康的に保つために良いことなのか、自分で判断し、選択してい必要があると思います。


ライター:上森 五葉