エドワード・ホッパーという画家をご存知でしょうか。ホッパーをご存知ない方も、彼の作品「ナイトホークス」はどこかで目にされているかもしれません。

ホッパーは「大都会の夜の孤独さ」を多く描いた画家です。商業イラストレーターから画家に転身したホッパーが60歳になった1942年にナイトホークスは描かれました。

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http://www.artchive.com/artchive/H/hopper/nighthwk.jpg.html より)

ホッパーはこの絵をはじめ「淋しさ」を演出するために、当時発明されたばかりの蛍光灯の明かりを効果的に作品に描きこんでいると言われています。蛍光灯の温度感や生命感のなさをホークスは強く感じとり、昼と対比した夜が持つ「淋しさ」を演出したのだそうです。

切れかかってチカつく蛍光灯がある病院...誰もがホラー映画の舞台のように感じるのではないでしょうか。照明の役割は大きいのです。

煌々とした蛍光灯の下よりも、少しうす暗いくらいの方が人間は安心します。生理学的に言えば、「安心の脳波」=α波が多くでています。ちょっとオシャレで落ち着くレストランは少し暗めの照明になっていませんか。しかし、ショットバーのような暗さで点滴の針を安全に刺すことができるでしょうか。

「安全の空間」であるために、病院にはJIS法に基づく「照度基準」も定められているのです。病院の多くが「なんだか明るすぎる」と感じるのはこの照度基準のためです。

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http://illuminance.science-jp.net/2009/02/jis_17.html より)

病院や介護施設を人を癒す空間にしたいとき、まず「明かり」のありかたに目を向けてみることをお勧めします。時として相反する「癒しの空間」と「安全の空間」を両立させるテクニック。照明の器具や設置方法といったちょっとした工務によって、かなり改善が可能と感じる空間が多くあります。

お困りの際は、病院×Artプロジェクトにもお気軽にご相談ください。

ライター:深田 雄志