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前回に引き続き彫刻の歴史をたどっていきたいと思います。先週も紹介した
3次元の世界である彫刻に2次元的なコラージュを施したロダンの「地獄の門」という超大作ですが、この作品の出現により、さらに構成的な芸術の概念がいくつも生まれたのです。

その中の一つに「未来派」というグループがあります。未来派はこれまでの3次元作品とは異なり、様々な素材を用いて芸術表現活動を行うといった宣言をし、主にスピード、運動、時間の表現探究をしていたのですが、この頃は第一次世界大戦と連動していたこともあり、作品がそれほど多く残っていません。また、彼らの素晴らしい成果物たちはしばしば政治的プロパガンダとして利用をされていました。

未来派の代表的人物として、ウンベルト・ボッチョーニが挙げられます。画家でもあり、彫刻家でもあった彼はしばしばメンバーの中で最も才能があったと言われるのですが、惜しくも戦死のため若くしてこの世を去ります。代表作は伝統的な素材、手法を用いて歩みの表現をした彫刻と、瓶の展開図があります。対象物の構造を把握するためには、そのものを開け広げ、外の空間と内部の空間の風通しを良くする必要があると考え、独特の螺旋表現を生み出しました。

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…このことを知らずに作品だけをパッと見ただけでは訳が分からないですが、そうだと分かるとじっくり鑑賞が出来て面白いですよね
(*^^*)

同様に、未来派のジャコモ・バッラは「縄でひかれた犬のダイナミズム」という作品を残しています。


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…いかがですか?どこかコミカルな感じがして可愛らしささえ感じるのですが、これは犬の歩行運動の時間経過を表現しているのですが、マンガにもよくある描写でありますね。

以上、未来派のポイントは①対象物自体が動く。②作る人、見る人は動かない。③時間表現の在り方を探る。の三点に集約されると思います。

また、この未来派とは別にロダンの影響を受けたのが「キュビスム」です。キュビスムは、フランスのジョルジュ・ブラック(1882-1963)とスペインのパブロ・ピカソ(1881-1973)2人が1970年から14年間パリで共に切磋琢磨しあいながら作り上げてきたジャンルとも言えます。大体の流れは、まず先にブラックが新しい試みを仕掛けて、それをピカソが進化させる形での発展です。キュビスムの大きなポイントを挙げるとするならば①対象物は動かず、作り手側の眼差しが動く②見えない面まで描き込む表現(対象物のより正確な把握)の二点だと思います。他にも遠近法、明暗法の破壊により絵画と彫刻の世界を曖昧化したことなど功績は数多く存在しますが。キュビスムは非常に複雑で、ロダンの影響ももちろんなのですが、本当の出発点はポール・セザンヌにあります。

アンリ・マティスも重要視していた作品である『水浴』から奥行の重要性を理解し、ピカソは『アヴィニョンの娘たち』を発表しました。セザンヌの表現は、自然を前にするが自然そのものが示されるのではなく自身の中でより良い形を取捨選択したものを構築するという手法をとるものです。これと同様の考え方で、一度対象を分解してから様々な面から見たものを構成するという、目ではなく頭で見るという考え方の分析的キュビスムというキュビスムがまず初めに存在します。(少々彫刻と話がずれてしまいますがお許しください…)

そしてこの考えに一歩踏み込んだブラックは、平らな物の上に楽譜や新聞、チラシといったものを貼り、線を描くパピエ・コレというものを考案しました。

このように身近な素材を用いることで、素材そのものの階層を解消していきます。これを受けピカソは、曖昧な見え方をする貼り込まれたパピエ・コレのコラージュの中でもギターをモチーフにした作品を多く発表していきました。彼の作り出した紙の彫刻のギターは絵画ではないがペインティングがなされています。

これは彫刻にしては非常に正面性が強く、オブジェとも言えないため、分類をすることができなませんが…。そしてさらにピカソは『アプサントのグラス』という作品で日用品のスプーンを作品に取り込むことに成功をしました。


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この彫刻も着色が施されており、絵画的ともいえるものになっています。このようにしてキュビスムは、粘土などの限られた素材を用いてカーヴィングをするかモデリングをするといった形を取っていた従来の彫刻スタイルに終わりを告げ、素材に拘らず、また彫像でも塑像でもない彫刻を生み出すきっかけを作り出すと同時に、絵画と彫刻の世界を曖昧なものにしました。

それだけではなくピカソは鉄の溶接技術をも学び、空間の中に絵を描くような線の造形物を生み出したりもしました。線の表現についてはピエト・モンドリアンや分析的キュビスムをさらに深めたマレーヴィッチにも関わってきます。

加えてピカソとブラックが生み出した壁の曲がり角の空間を用いる彫刻は構成主義に非常に強いインスパイアを与えました。この形の作品は対象とそれを取り巻く空間環境の大きな変化であり、後の究極の時間表現ともいえるロドチェンコのハンギングコンストラクションにも繋がるものです。さらに、フランスのローランスはキュビスムの絵画の三次元版の表現をし、紙のギター彫刻のような曖昧なジャンルの作品制作をしています。

…とまあ、あげたら本当にきりが無いくらいの後継者を生み出したキュビスムは本当に西洋彫刻に大きなものをもたらしたことが分かりますね。

しかしまだまだ彫刻界の進化は止まらないので次回も彫刻物語、続きます…。(若干の疲労感が、笑。)
頑張っていきたいと思いますのでどうかお付き合いの程よろしくお願いたします。



画像引用元

development of a bottle in space

http://en.wikipedia.org/wiki/Development_of_a_Bottle_in_Space (2014.11.05閲覧)

「老兵は黙って去りゆくのみ」

http://d.hatena.ne.jp/cool-hira/20140131/1391116042 (2014.11.05閲覧)

「現代美術関連サイト」

http://kousin242.sakura.ne.jp/arakawaoki/eee/%E8%8A%B8%E8%A1%93%E8%AB%96/%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%93%E3%82%B9%E3%83%A0/%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%93%E3%82%B9%E3%83%A0%E3%81%AE%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%B1%95%E9%96%8B/283-2/ (2014.11.05閲覧)





ライター:羽田綾芽



 


 


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